気を散らすノート

色々と散った気をまとめておくところ.論文読んだり自分で遊んだりする.たぶん.

手術中の血圧管理について

免責と言うか文章のジャンルにかかわらずこの blog に書くことを信用してなんか困ったことになっても僕は責任持てませんよっと.一部を除き流し読みです

手術中は血圧が上がったり下がったりしやすいのだが,とくに低血圧の方については(とくに心筋とかの)虚血や腎不全とかそういう問題が起こりがち,とされている.じゃあどの辺からが問題になるのかとかそういうことが知りたい.のだけれど,案外細かいことは解ってないし,そもそも術中低血圧の定義自体が相当ばらついている1

いくつかその辺にまつわる論文としては

  • 平均血圧が 55 mmHg を切るところ.リスクは時間依存で増えるが急に上昇(1分なら大丈夫というわけではない)して,10分持続することを想定すると odds ratio が 1.5 前後くらいになりそう.一部の(周術期管理とか)交絡を除けて等の制約があるが規模は大きく,これまでの知識とそこそこ符合していて,生理学的にも理解できるのでまあ良さそうという報告 2
  • 色々試すと予測のためには平均血圧 50 mmHg を閾値として血圧の最大下がり幅と area under the threshold あたりが良さそう3.(これはもうちょっと読み込みたい)
  • 1990 年の論文では平均血圧をみてて, 70 mmHg 以下から合併症が増える雰囲気を感じ,術前から 20 mmHg or 20% 以上の変化が遷延するのは良くなさそうということになっている4

上の[^what] は過去の報告を色々まとめている.ほかにもいくつか読んだ全体の雰囲気としては血圧の下がり方と持続時間が問題になる,ただそれに介入して血圧上げるのが直ちによい効果をもたらすのかについては実は我々はあまり根拠を持ってないという感じのように見える.ただ,じゃあ介入する/しないでランダム割付できるかというとそれは倫理的に無理だよね,という指摘[^what]もされている.

探してるうちに術中に血圧の上下する傾向は高血圧の人に強くて(予想通り),よく振れるほうが生存によい(予想外)という噂があった5

上で [^what] となってるのは Li, D., Bohringer, C., & Liu, H. (2017) のことです.同じ脚注を複数回参照するのってどうするんだろう.


  1. Li, D., Bohringer, C., & Liu, H. (2017). What is" normal" intraoperative blood pressure and do deviations from it really affect postoperative outcome?. Journal of biomedical research, 31(2), 79. URL

  2. Walsh, M., Devereaux, P. J., Garg, A. X., Kurz, A., Turan, A., Rodseth, R. N., … & Sessler, D. I. (2013). Relationship between Intraoperative Mean Arterial Pressure and Clinical Outcomes after Noncardiac Surgery: Toward an Empirical Definition of Hypotension. Anesthesiology: The Journal of the American Society of Anesthesiologists, 119(3), 507-515. URL

  3. Vernooij, L. M., van Klei, W. A., Machina, M., Pasma, W., Beattie, W. S., & Peelen, L. M. (2018). Different methods of modelling intraoperative hypotension and their association with postoperative complications in patients undergoing non-cardiac surgery. British journal of anaesthesia, 120(5), 1080-1089. URL

  4. Charlson, M. E., MAcKENZIE, C. R., Gold, J. P., Ales, K. L., Topkins, M., & Shires, G. T. (1990). Intraoperative blood pressure. What patterns identify patients at risk for postoperative complications?. Annals of surgery, 212(5), 567. URL

  5. Levin, M. A., Fischer, G. W., Lin, H. M., McCormick, P. J., Krol, M., & Reich, D. L. (2015). Intraoperative arterial blood pressure lability is associated with improved 30 day survival. BJA: British Journal of Anaesthesia, 115(5), 716-726. URL